新美吉人インタビュー
西葛西メキシコ料理店にて(2002/9)




こんにちは。新美さんとは去年の夏に無印良品の津南キャンプ場で始初めてお会いしてましたよね? 本日は新スタッフの直撃インタビューです。よろしくお願いします。 

新美 えっと、飲み物はマルガリータでいい? ボクはアイスティー。

最初はビールにしようかな。コロナでお願いします。それではカンパ〜イ! ではでは早速インタビューを。まず最初に、みなさんに伺っているのですが、簡単な自己紹介をMTBとの出会いも絡めてお願いします。

新美 MTBを始めて見たのは20年前、まだ小学生でした。BMXのメンテナンスのために父親と行った世田谷の「ワイルドキャット」っていう店で、GTのを見たのが最初だったかな。印象としては「山をこれで走るのか」とか「親父が欲しそうな顔してるなぁ」とかって感じでしたね。
この時にこのお店をやってらっしゃったのが平木さんといって、日本にBMXとMTBを持って来てくれた人。僕の中の「一番かっこ良い、グレたオジサン」でしたね。今から10年前にガンで亡くなられて、本当にショックでした。彼を偲んだ「ヒラキカップ」はこの平木さんのメモリアルレースで、僕は1回目からずっと参加しています。僕は今28歳ですが、平木さんが生きていれば、仕事のこと、遊びのこと、とにかく僕が今考えていること、感じているいろんなことを話してみたいって強く思います。僕も何人かのオールドスクールライダー達とお墓参りに行こうって話をしています。"Back to our roots"です。自分の足下を見直す時なのかな。

自転車を通して素敵な出会いがあったのですね。ということはMTBに出会う前にBMXがあったわけですよね。それはいくつの頃からですか?どんなきっかけで乗り始めたのですか?

新美 小学校に入ってすぐ、近所の空き地(浅草寺の裏)で凸凹の道や、水たまりなんかを走っていて、しょっちゅうパンクさせていたんだよね。それを見かねた母親が、頑丈そうな自転車ってことでBMXを買ってくれたわけ。そして母親が何かの雑誌でBMXレースの存在を知って「じゃあ、うちの息子を出してみるか」っていうのが始まり。小学校2年生が初レースでした。子供の頃はレースに親がついてくるから、一生懸命にやってました。中途半端なことしてると「本気でやらないなら帰れ!」とかって怒られたりして。

へえ、気合い入っていたんですね! って今もですよね。
あの実は私、BMXってよく分からないのですが、具体的にはどんな競技なのですか?


新美 おおまかにわけるとレースとフリースタイルに分かれます。レースはバンクやジャンプのあるショートトラックを1周して順位ードを競うもの。フリースタイルには3種類あって、これはこういうところで(ストリートコースやジャンプの絵を書いて説明)、トリックで人を魅了するものって感じかな。
へぇ〜、フリースタイルってテレビとかで見たことがあるのでイメージ湧きます。レースはタイムを競うんではなくて?

新美 そう、一斉にヨーイドン!で8人くらいで同じコースを走って早い人が勝ち。

わぁ〜。見てみたいな。今もレースに出たりしているのですか?

新美 はい。緑山(横浜市)で開催しているJOSFというシリーズ戦では、エリートライダーとして走っています。

BMXの世界では、自分で走るということもそうだけど、今は後輩たちの面倒を見たり、環境を整えたりということにも力を注いでいるって聞いたんですけど。この間、一緒にMTBのトレイルメンテナンスをやったときには、ずいぶんと一生懸命にやってましたよね?

新美 BMXの世界では、自分たちで楽しむフィールドは、自分たちで造るというのは当たり前。もちろんそのメンテナンスもね。だからMTBのトレイルメンテも当たり前って感じだね。


丹羽さんが自分自身のことを「元々、自転車はツーリング=旅だったけど、今のMTBの楽しみ方は、いつものフィールドで楽しむスポーツって感じ」みたいなことをいってたけど、そんな感覚がBMXの頃からあるわけですね。

新美 それはあんまり意識したことないけど、いわれりゃそうなのかもね。
峠を越えるとか、どっかまで行くというより達成感とかよりも、その瞬間瞬間を楽しんできたって感じなのかな。

それじゃあ、BMX以外の自転車に乗るようになったのはずっと後になってから?

新美 中学3年生から高校2年生くらいまではロードのレースにも出ていましたね。MTBに乗り始めたのは高校生になってからかな。当時はどんなフィールドがあるかよくわからなかったので、レースが楽しむ場という感じだった。今から14?5年だね。あの頃ってダウンヒルもクロスカントリーも混ぜこぜって感じで、同じMTBでタイヤだけ交換して両方とも出てたね。サスペンションも今みたいにいいモノじゃなかったから、かなり激しかったよ。おりゃ〜って感じで。あれはあれでおもしろかったねぇ。

えぇ〜っ、すごい。普通のバイクでダウンヒルしてたってことですよね?

新美 でも、当時はそれが当たり前だったしね。今ほどコースは激しくなかったけど。

では新美さんにとって、MTBの魅力は何ですか?

新美 MTBの魅力っていう前に、まずは自転車が好きなんだと思う。ロードも好きだし。
フィジカルな部分を突き詰めていくとロードになっていくと思うし、ラディカルな部分ではBMXになるんじゃないかな。で、MTBはその両方がうまく入ってくるってイメージかな。
それからMTBの魅力というと、自然の中を走るって楽しみっていうのがスゴク大きいね。なんといってもシングルトラックだね。まるでスターウォーズの1シーンみたいじゃない? 木の中をひゅんひゅんとすり抜けていくのって。何度も走っているコースだと、次の展開が読めてくるっていうのもまた面白いし、初めてのところだと、次のカーブを曲がったらどうなっているんだろうっていう、ワクワクドキドキの感じがたまらない。このあたりの感覚って、ビギナーでもエキスパートのライダーでも、シングルトラックを走り出せば同じように感じ取ってもらえるんじゃないかと思うけどね。

BMXのライダーというとなんか激しそうなライディングを追求するってイメージがあるけど、この間一緒に走ったときは結構のんびり休憩して、自然の中にいる時間を浸ったりするのを楽しんでいましたよね?

新美 うん。キリッと集中して走って、休憩して和むっていう緩急はいいよね。緑に包まれているのって気持ちいいもんね。葉っぱの上に寝っ転がってボーッとしてみたり。

以前からツアーのガイドやサポートなどをされているということですが、選手とガイドの違いって何だと思いますか?

新美 選手という立場では、競技だからやっぱり負けてはいけないし、見ている人に印象に残るような走りをすることが大事だよね。自分を表現するというか。その中で自分との闘いや、恐怖と向き合える緊張感、高揚する感じというのがたまらないですね。
ガイドというのは、今までの経験を100%出す瞬間。もっと自転車を好きになって欲しいって思いながらやっているかな。一緒に走っていて、アドバイスしたことでどんどん走りが上手になったりするのって、楽しいし嬉しいよね。あとお客さんがシングルトラックで、楽しくてヨダレ出しそうな顔を見るのも楽しい。レースとガイド、2つは全然違うことだけど、どちらもとっても楽しくて、自分にとっては大切な時間です。やっぱり自転車のことが心から好きなんだろうね。
BMXのレースで走るときのパワーを100とすると、この間みたいにMTBでシングルトラックを走るときの力は50くらい。なんといっても自然の中だからね。ガイドをするときは30くらいかな。自分で走るときとガイドで走るときでは、それぞれ楽しみ方が違うからね。ガイドのときはとにかく自分の走りは二の次で、参加者が楽しんでもらえることを心がけている。当たり前だけどね。

ところで、丹羽さんとはいつどこで知り合ったのですか?

新美 チーム・スペシャライズド時代に伊豆大島のツアーでガイドのお手伝いをしたとき。

丹羽さんの第一印象は?

新美 「あ?、自然の事、良く知ってる。さすがだわ」って印象かな。僕とはバックグラウンドが全然違ったから。あとMTBのガイドのプロだってことを初めて感じさせてくれた人。僕には結構なカルチャーショックだったよ。

なんか本人聞いたら喜びそうですね(笑)。伊豆大島、どうでした?

新美 もう、とにかくびっくり。MTBに乗るとか乗らないかとか、それ以前の話で。だってあんな砂漠地帯、見たことなかったもんね。木がない、水がない、音がない。特に音がないってのはもう圧倒された。みんなでいたからいいけど、あれ、1人だったらビビッてしまうよね。そこをみんなで走るっていうことがまたよかった。タイヤが火山灰の路面をサクサクとらえる感じがまたいいよね。
それが伊豆大島にあるっていうのも驚きだった。だって、東京都だよ!あんな世界ってハワイとか、すんごいところに行かないとないのかと思ってた。

ホント、そうですよね。私もアレではまりました。それまでほとんどMTBに乗ったことなかったのに。
そういえばこのあいだ、丹羽さんとアメリカのどっかがフィールドとして楽しいとかって盛り上がってましたけど。 


新美 あ、バークレイ(サンフランシスコ郊外)ね。あそこもヤバイくらいおもしろい。あっちに友達がいたので、高校卒業してから1ヶ月くらい行ってたの。そのときは向こうでロードバイクの練習してた。レースにも出たりして、少しだけど賞金もらったりもして!
街から20分くらいのところに低山のトレイルがあって、あそこはベストトレイルだね。朝1時間くらい走って昼寝して、また午後ちょっと走ってくるかって感じで。自転車で地下鉄とか乗れるし。おもしろくって、全部で3回行ったね。自転車持って行ってみるといいよ。女の人もいっぱい楽しんでるよ。
あのときにVelo newsとかMountainbike Actionなんていう向こうの雑誌を見てたら、MTBのガイドツアーの広告とかがいっぱい出てるんだよね。そんなものがあるってこと自体、全然知らなかったから、その友達にこれってナニ? って聞いたのを覚えている。誰でもが簡単に楽しめるんだなぁって。
で、伊豆大島に行ったのは、それから5年くらい経ってからかな。そのときはツアーのサポートってことで行ったけど、なんかバークレーで自転車雑誌の広告を見て興奮したときのことを思い出して、なんかワクワクしたよ。確か40人くらいでワイワイ行って、楽しかったよね。そのときに"あ、もっとこんなことしてみたい"って思ったんだよね。

それでツアーを企画するようになったんですか?

新美 そう。あの後、REIっていうアウトドアショップの自転車部門に勤めることになったんだけど、
モノを売るだけじゃなくて、楽しんでもらえるような企画をいっぱいやりたかった。というか、そんなこともやりたくてREIに入ったようなものだけど。で、そのときも丹羽さんにお願いしたの。

それでどんなツアーをやったんですか?

新美 MTBだけでなく、オンロードも含めていろんなツアーをやってみたかった。丹羽さんにスライドショーをやってもらったりもしたね。
最初のツアーはお店のあった南町田から、近くのを流れる境川沿いのサイクリングロードを走って、江ノ島まで行くっていうの。あれも楽しかったなぁ。
MTB=山、って考えがちだけど、初めてスポーツサイクルに乗る人は、とにかく気持ちのいい道を、気持ちよく風に吹かれて走るだけで笑顔になってる。あの顔を見るのがサイコーなんだよね。で、川沿いだけどちょっとだけシングルトラックっぽいところを入れたりして。すると途端に顔がこわばったりして。その顔を見るのもサイコーなんだよね!
ま、こわばるのはともかく、近場でもちょっとした冒険はできるし、気持ちよく走れるフィールドがあるっていうことを感じてもらえたらうれしいなと。自転車ってアイデア次第だからね。
あ、それから西多摩界隈のシングルトラックを走ったのも、そのときに丹羽さんにやってもらったツアーのサポートが初めて。え、こんな近場にこんなおもしろい道があるんだって、正直驚いた。だから今、自分で楽しむときも、わざわざ遠くへ行くこともなくなったかな。

ではでは、自転車以外にも何か趣味はありますか?

新美 スノーボードも好き。スノーボードはMTBと似てるよね。それから音楽は生活に欠かせないね。ジャズ、ヒップホップ、ロックならなんでも聞きます。自転車に乗っているときに頭の中で自然にかかっているようなメローなリズムが好きですね。最近というか、ここ数年はジャズヒップホップが大好き。シングルトラックのリズムにぴったり。あとは80年代のヒップホップかな、最近のヘビーローテンションは。

とくかくスポーツも音楽もリズムがあるものが好きなんですね。スノーボード、バックカントリーとかは興味ないですか?

新美 今年は行ってみたいね。でもちゃんとフィールドや自然のことを知っている奴と一緒に行きたいね。だって危ないもん。なんちゃってバックカントリーボーダー、いっぱいいるけど危ないよ。雪崩とかホワイトアウトとかの危険、全然考えていないもんね。
「BMXとかレースとか危険じゃない?」ってよく聞かれるけど、コースの中をある程度のレベルの人たちが走る方が絶対危険じゃないよ。やっぱり自然の中で行動するときの方が、危険は伴うと思うね。
だからMTBなんかだと山の中でヘルメットとかかぶらないで走っている人がいたら注意するね。ゆっくり走るからいいとかじゃなくて、やっぱり転ぶ可能性は誰にでもあるし、ケガもいっぱい見てきたし。もし何か事故を起こしたりしたら、ライダー全体のイメージが悪くなるというか、危険なことやってるっていう風になってしまうからね。なので、山の中を自分一人で走りに行くのも好きだけれど、そういうときは自分でよくわかっているコースだけにしているね。

では、やまみちアドベンチャーのスタッフとして声をかけられたときどう思いましたか?

新美 お声がかかってきたのね、これでやっと一人前のライダーかなって思ったね!

最後に、今後の抱負というか…やまアドを通して伝えたいことや、やってみたいことがあったらお願いします。

新美 日本にはこのようなソフトを提供する機会が本当に無いから、大事にしていきたいです。MTBは走ってこそオモシロイと思うので。ソフトがあれば誰でも入ってきやすいというのもMTBの特徴じゃないかな。
それからボクがガイドするときのツアーの特徴は、登りはゆっくり行きます。だって苦手なんだもん…。で、下りは安全に。それができたらカッコよく、それっぽく見えるよう、アドバイスしますよ、って感じかな!
あとは初心者から上級者までが同じコースで面白いってえるトレールを増やしていけたら、最高だよね!

どうもありがとうございました。ふぅ〜、お腹いっぱいだあ。おいしかった。


◆◆◆インタビュアーQたろうのひとりごと◆◆◆
やまみちアドベンチャーのスタッフの中では唯一の20代!でも実はスポーツサイクル歴はかなり長いんですね。なんか「アニキ〜!」って呼びたくなるのは、チャキチャキの江戸っ子らしい、スピード感あふれるおしゃべりのせいでしょうか。こちらもついついこちらも乗せられてしまいます。先日ご一緒したスタッフライドでも、とにかく新美さん一人がいるだけで周りが明るくなるというか盛りあがってしまいました。とにかく一緒にいて楽しい方です。BMXはもちろんのことMTBもロードも大好きという新美さん、そのパワーで、みんなをぐんぐん引っ張っていってください!Q

 スタッフのプロフィールへ HOME